ダイナミックレンジとは
ダイナミックレンジとは、最も明るい部分と最も暗い部分の輝度差を指します。 簡単に言うと、表現できる明暗の幅のことです。
ダイナミックレンジは、EV(Exposure Value:露光値)という単位で表されることがあります。EVは、2を底とする対数で輝度比を表し、1EVの差は輝度が2倍になることを意味します。
人間の目は、非常に優れたダイナミックレンジを持っています。 明るい太陽光の下でも、暗い影の部分でも、 細部まで見分けることができます。 しかし、カメラのセンサーやフィルムは、人間の目ほど広い範囲を捉えることはできません。
ダイナミックレンジが重要な理由
ダイナミックレンジが広いほど、明暗差の激しいシーンでも、白飛びや黒つぶれを起こさずに、階調豊かに表現することができます。 例えば風景写真では、空の明るさと地面の暗さを同時に表現するために、広いダイナミックレンジが必要となります。
ダイナミックレンジが狭い場合は、明るい部分と暗い部分のどちらかを犠牲にしなければなりません。 明るい部分に合わせると暗い部分が黒つぶれし、暗い部分に合わせると明るい部分が白飛びしてしまいます。
デジタルカメラでは、センサーの性能や画像処理エンジンによってダイナミックレンジが異なります。
一方、フィルム写真では、フィルムの種類によってダイナミックレンジが変わります。フィルムの場合は、ラチチュードという言葉が使われることもあります。ラチチュードとは、フィルムが適正露出からどの程度の露出オーバー、または露出アンダーに耐えられるかを示す範囲のことです。
黒つぶれを防ぐには、露出補正やヒストグラムの確認、照明の追加などが有効です。また、RAW形式で撮影することで、後処理である程度の白飛びや黒つぶれを補正することも可能です。