2025最新版 AI切り抜きツール5選
プロレタッチャーが使って比べてみた
Photoshopとはどう違う?
近年、AI技術の進化により、画像切り抜きは大きく変化しています。従来のPhotoshopによる手作業に加え、AIによる自動切り抜きツールが普及し、どちらを選ぶべきか悩む方も多いのではないでしょうか。
本コラムでは、BtoBのフォトレタッチサービスを提供するプロレタッチャーが、AIによる画像切り抜きとPhotoshopの手作業による画像切り抜きを徹底比較し、それぞれのメリット・デメリット、そしてどのような場合にどちらを選ぶべきかを解説します。
AI画像切り抜きのメリット
AI画像切り抜きは、作業時間を大幅に短縮できるだけでなく、Photoshopのような専門知識がなくても容易に切り抜き作業を行えます。また、作業時間の短縮は人件費等のコスト削減にもつながります。
AI切り抜きツールの性能比較
実際に、AI切り抜きツールを使って、Photoshopによる手作業とどれくらい品質に差があるのかを試してみましょう。
Photoshopでは、プロのレタッチャーが以下の写真に対し、手作業で丁寧に切り抜きを行いました。細部の精度や画質にご注目ください。
本項では、このPhotoshopでの仕上がりを基準として、各AI切り抜きツールの性能を検証します。特に、切り抜き精度と画質に焦点を当て、具体的な比較結果を示します。
※検証結果は2025年3月時点でのものです。
※切り抜き結果をウェブページ上で見やすくするため、切り抜いた後にグレーの背景をつけています。背景透過のデータをご覧になりたい場合はリンクからデータをダウンロードしてください。
使用する写真は、黒いドレスを着た女性と白いドレスを着た女性、真珠のアクセサリーの3枚です。



Photoshopで切り抜いた背景透過データはこちらからダウンロードしてください。
Adobe Express
切り抜き精度 ×
画質 ◎
チラシのデザインやSNSの投稿を作るためのデザインツールですが、AI切り抜きの機能も備えています。元データの大きさをそのまま保持できるので、今回試したツールの中では最も画質がよかったのですが、切り抜きの精度はちょっと残念な結果になりました。切り抜きはせず、デザインツールとして使うべきなのかもしれません。

レース部分が完全に破綻しており、右手の輪郭もガタガタです。広範囲に白いフチが残っています。
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ドレスの裾の一部を背景と勘違いして切り抜いた結果、右脚が欠けてしまいました。足元の影も残っています。その他の部分も全体的に切り抜き精度が低いです。
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白い背景に白い被写体というAI切り抜きツールにとってはかなり条件の厳しい写真ではありますが、ネックレスは千切れたようになってしまい、耳飾りは完全に消失してしまいました。
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AC切り抜き
切り抜き精度 △
画質 △
写真やイラストの素材サイト運営会社が提供しているAI切り抜きサービスです。無料会員は1日5枚まで切り抜くことができますが、それ以上の枚数が必要ならプレミアム会員になる必要があります。TIFFやPSDの切り抜きはできず、JPGとPNGにのみ対応しています。最大の出力サイズは6000×4000ピクセルです。

全体的に切り抜きが甘く、白いフチが残っています。髪の毛やレースもうまく切り抜けませんでした。
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こちらも全体に白いフチが残っており、境界線部分はモザイクがかかったようになっています。脚の間も切り抜きができていません。スカートの向かって右側の部分は一部が消えてしまっています。
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ネックレスの内側がすべて残っており、うまく切り抜けませんでした。真珠の玉が欠けてしまった箇所も多く、実用的とは言えない仕上がりです。
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Photoroom
切り抜き精度 ◯
画質 ×
無料プランでも250枚まで切り抜きができますが、出力サイズに制限があり、無料版なら2400×2400ピクセル、有料版でも4032×4032ピクセルまでになります。画質も元の画像より落ちて、薄くぼかしたようになってしまうので、肌や髪、商品のディテールなどをしっかり見せたい場合は使用を避けた方が良いでしょう。今回試したツールの中では切り抜きの精度は一番高かったですが、画質面では一番低いという結果になりました。TIFFやPSDの切り抜きはできず、JPG、PNG、WebPに対応しています。

手作業に比べると劣るものの、かなり良好な結果が得られました。ただし、レースの細かい部分や髪の毛には切り抜き残りがかなりあります。耳飾りは背景と似た色だったため、切り抜かれて消えてしまいました。
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右手の横の髪の毛の隙間はうまく切り抜けなかったものの、他のAIツールでもできていなかった部分なので比較的品質が良いと言えます。ただ、Photoshopの手作業と比べると、境界がすべてボケたようになっています。
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耳飾りの金具部分は影の判定が難しかったのか切り抜き残りが少しありますが、全体的にはかなり正確に切り抜けています。ただし、Photoroomはやはり画質がかなり落ちてしまうので、切り抜いた境界がすべてボケたようになり、真珠も心なしか安っぽく見えてしまいます。
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MyEdit
切り抜き精度 △
画質 △
MyEditは画像加工ツールというより、音声の文字起こしやAI画像生成もできる多機能ツールです。無料プランでは1日1枚だけ切り抜きができます。
JPG、PNG、GIF、WebP、BMPに対応しています。

レースの部分はまったく切り抜きができませんでした。AC切り抜きほどではないものの、白くフチが残っています。耳飾りも半透明になってしまいました。
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他のツールに比べるとまあまあ良好な結果ですが、髪の毛や肌の周りには白くフチが残っており、ドレスのエッジはかなりボケてしまっています。
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真珠の形をうまく判定できておらず、形が歪になっています。ハイライト部分を背景と間違って切り抜いてしまい、真珠に穴が空いたようになっている部分も見受けられます。右上の方ではかなり広範囲に切り抜き残りがあります。
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無料プランでは3枚まで切り抜きができます。枚数無制限の有料版は99ドルとかなり高い料金です。JPG、PNG、WebPに対応しています。

レースの部分はまったく切り抜きができませんでした。右手のラインはかなりガタガタしています。指の間に切り抜き残りがあります。髪の毛の切り抜きもきれいではありません。
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全体的に白くフチが残っています。左足の脛が切り抜かれてしまいました。靴の踵も欠けていたり、足元の影も残っていたり良いところがありません。
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ネックレスの3分の1ぐらいが消えてしまいました。残った部分の真珠も形が歪で欠けている部分が目立ちます。耳飾りも消えてしまい、ほとんど残っていません。
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検証結果まとめ
Photoshopと比べると…
残念ながら、熟練のレタッチャーがPhotoshopを使って切り抜いた場合と比べると、精度が高いといえるAI切り抜きツールはありませんでした。
複雑な形状や細かいディテールは、まだまだ人間の目にはかないません。例えば、モデルのサラサラな髪の毛や、繊細なレース模様、精巧なアクセサリーなどは、AIが苦手とするところです。白い背景で白い服や商品を撮影した場合の切り抜きも苦手です。どうしてもディテールが甘くなってしまうので、高品質な仕上がりを求めるなら、結局は手作業で修正が必要になります。
自動処理なので、細かい調整ができないのも難点です。境界線をミリ単位で調整したり、一部分だけ修正したりといった作業は、AIを使った切り抜きにはまだ難しいのが現状です。また、ツールによっては画質が劣化したり、出力できるサイズに制限があったりすることもあります。
結局、AIと手作業、どちらを選ぶべき?
どのような状況でAI切り抜きを選ぶべきかは、画像の用途や目的、求める品質、予算、納期などを慎重に検討する必要があります。
AIによる画像切り抜きがおすすめなのはこんな場合
・切り抜き精度が悪くても構わない
・とにかく予算を抑えたい
・YouTubeのサムネイルなど小さい画像で使う
・大量の画像を短時間で処理したい
・社内にPhotoshopの専門スキルを持つ人がいない
・画質の劣化は許容できる
・出力サイズに制限があっても問題ない
Photoshopでの手作業がおすすめなのはこんな場合
・モデル撮影や複雑な形状の切り抜き
・品質やブランドイメージを重視したい
・商品の質感までこだわりたい
・毛皮やレース素材もしっかり切り抜きたい
・AIが苦手な白い商品や衣装がある
・印刷物など、大きなサイズが必要
レタッチ会社に外注するという選択肢、プロに任せる安心感
AIによる画像切り抜きは確かに便利ですが、品質の面ではまだまだ手作業に及びません。特に、ブランドイメージを左右する重要な画像については、プロのレタッチャーに依頼するのが安心です。
AI切り抜きの品質に満足おできず、かといって社内にPhotoshopを使える人材もいないという企業様には、レタッチ会社にすべて外注するという選択肢もあります。
東京レタッチのフォトレタッチサービスでは、基本的に全て手作業で対応していますが、お客様のニーズに合わせてAIを用いたソリューションも提供しています。画像切り抜きでお困りの際は、お気軽にご相談ください。
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この記事を書いた人
玉上義彦
株式会社bloom
フォトショップ歴19年。ベトナム在住歴7年。
早稲田大学卒業後、フォトグラファーアシスタント、雑誌編集者を経て、現職。
新規開拓営業、既存顧客対応、レタッチャーの養成およびマネジメント、SNS運用、ウェブコンテンツ制作などを担当。