プロのレタッチャーが解説
AI時代だから気をつけたい
フォトレタッチのやりすぎ防止策
1990年にAdobe Photoshopが発表されて以来、フォトレタッチの技術は飛躍的に進化し、プロフェッショナルからアマチュアまで幅広い層に利用されるようになりました。
特に近年、Adobe Photoshopに搭載された「生成塗りつぶし」や、スマートフォンのAIフィルターは、写真の「修正」の概念を大きく変えました。不要なものを消すだけでなく、存在しないものを描き加え、背景を自在に拡張する「生成」までが誰でも簡単に行える時代です。フィルムカメラしかなかった時代の限られた職人によるレタッチと比べると、はるかに敷居が低くなったと言えます。
その反面、私たちがメディアやSNSを通じて目にする写真のほとんどがレタッチされたものになり、その中には鑑賞者から「レタッチのやりすぎ」と感じられる写真も増えました。
過度なレタッチは自然さを失わせ、写真の本来の美しさを損なうことがあります。この記事では、適切なフォトレタッチのコツと、やりすぎを避けるための方法を紹介します。
- この記事を読んでほしいのはこんな人
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- 写真が趣味で、レタッチも自分でやっている人
- プロのフォトグラファー、カメラマンであるが、レタッチに自信がない人
- 自分で写真は撮らないが、仕事で写真を扱う人、レタッチ会社に外注をする人
東京レタッチは、芸能人・エンターテインメント業界に特化したプロ品質の画像修正サービスです。
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やりすぎなレタッチの例
毛穴や年齢に応じたシワなどを完全に消してしまうと不自然な仕上がりに。

適度なレタッチの例
目尻のシワや肌の毛穴などを適度に残り、年齢感を残したレタッチ。
なぜレタッチをやりすぎてしまうのか?
その原因と改善方法
レタッチをやりすぎてしまうのには、いくつかの原因が考えられます。
1.完璧を求めすぎる
完璧な仕上がりを求めるあまり、細部を過剰に修正してしまうケースです。特に人物写真で、細かなシワやシミを完全になくそうとすると、不自然な仕上がりになります。
SNSで見る加工された写真が、レタッチの基準になっていませんか。個人の発信する写真の多くは、レタッチが過剰な傾向にあります。
改善策:自然な仕上がりを目指しましょう
信頼できる出版社やプロの写真家が発表する写真集、芸能人の公式サイトなどを参考にしましょう。「完璧」よりも「自然な仕上がり」を目指すことが重要です。
弊社サービス「東京レタッチ」では、芸能人のポートレートをレタッチする際、過去の事例を基準にします。基準から外れると「いつもと違う顔」という印象を与えてしまうからです。ご自身で写真をレタッチする場合も、気になる部分をすべて消すのではなく、自然さを大切にしてください。
2.AIツールに依存している
AIツールは手軽で強力ですが、頼りすぎると不自然な写真になりがちです。各機能の効果を理解し、必要な部分にのみ使用してください。
AIによる「やりすぎ」の例
・ワンクリックで肌を補正する機能は、シミやシワだけでなく、人間らしい毛穴や肌理(きめ)まで消し、陶器のようにツルツルすぎる「AIスキン」にしてしまいます。
・AIに肌の選択範囲を任せると、肌の周辺までぼやけてしまうことがあります。
・Photoshopの「生成塗りつぶし」で背景の人物を消したり物を追加したりすると、AIが生成した部分の光や影の方向が、元の写真とずれて違和感を生むことがあります。
改善策:AIをアシスタントとして活用しましょう
プロのレタッチャーは、AIの判断をそのまま採用しません。時間のかかる被写体の切り抜きや肌補正の下処理など、作業を効率化できる部分にのみAIを活用します。そして、肌の質感調整や顔の印象を決める細部の修正といった最も重要な工程は、必ず自らの目と手で丁寧に行います。
AIは優秀なアシスタントです。どこまでをAIに任せ、どこから人間の感性で仕上げるか、この見極めが「やりすぎ」を防ぐ鍵となります。全面的に頼るのではなく、まずPhotoshopの基本機能で写真の質感を調整する技術を磨きましょう。
3.第三者のフィードバックがない
一人でレタッチ作業を進めると、客観的な視点を失い、自分では気づかないうちにやりすぎてしまうことがあります。
特に自分の写真をレタッチする場合、コンプレックスを過剰に修正しがちです。その結果、本来の魅力を損ない、非現実的な体型や顔立ちになることがあります。また、体型を補正する際に、背景が歪んでしまうミスも起こりがちです。
改善策:第三者のチェックを受けましょう
このような事態を避けるには、第三者にチェックしてもらい、客観的な意見をもらうことが非常に有効です。芸能人が過剰にレタッチした写真をSNSに投稿し、話題になることがあります。これも、マネージャーなど第三者がチェックするだけで、破綻した写真の公開を防げます。
弊社では、レタッチャー個人の判断に任せず、必ず別の担当者がチェックしフィードバックを行う体制を整えています。これにより、品質を担保し、レタッチのやりすぎを防いでいます。
年齢や性別に応じたポートレートレタッチ
年齢や性別に応じたポートレートレタッチのポイント
「東京レタッチ」では、10代のアイドルから60代以上のベテラン俳優まで、多様な方々のポートレートレタッチを手がけています。私たちは、レタッチに画一的な正解はないと考えています。
人物写真のレタッチでは、その人の年齢、性別、個性を考慮しなければ、魅力を引き出すことはできません。これは、誰にでも同じような綺麗な肌を生成するAIの自動補正と、私たちプロの仕事の決定的な違いです。
AIは、データに基づいた画一的な処理は得意です。しかし、被写体固有の個性や、撮影者が表現しようとした意図までは正確に汲み取れません。私たちの仕事は、写真の目的やコンセプトを深く理解し、被写体の魅力を最大限に引き出す調整を行うことです。
レタッチのポイント例
年配の女性: 若い女性と同じ基準でレタッチすると不自然になります。シワは完全に消さず、自然に薄くする程度に留め、肌の質感も滑らかにしすぎないように調整します。
男性: 肌をきれいにしすぎると、男性らしさが失われることがあります。ただし、中性的な魅力を表現したい場合は、あえてそのように仕上げることもあります。
このように、どの特徴を残し、何を調整するのか。この微細な判断の積み重ねこそが、AIにはないプロのレタッチャーが提供する価値です。
芸能人のポートレートレタッチは、実績豊富な「東京レタッチ」におまかせください。
東京レタッチは芸能人のポートレートに特化したBtoBレタッチサービスです。写真集、アーティストグッズ、SNS、雑誌、広告など様々な用途に対応いたします。
既存の外注先のレタッチャーでは品質でクライアントを満足させられないとお悩みなら、まずはお問合せを。また、数量の多い案件で納期が短い場合でも、約50名のレタッチャーが在籍する弊社ならお力になれると思います。
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この記事を書いた人
玉上義彦
株式会社bloom
フォトショップ歴20年。ベトナム在住8年。
早稲田大学卒業後、フォトグラファーアシスタント、雑誌編集者を経て、現職。
新規開拓営業、既存顧客対応、レタッチャーの養成およびマネジメント、SNS運用、ウェブコンテンツ制作などを担当。