なぜ「東京レタッチ」は
大量案件に特化したのか

「大量案件の実績が豊富だとページに書いていたから依頼したのに、約束した納期に大幅に遅れた」
「数百枚単位のレタッチを依頼したら、写真ごとにクオリティがバラバラで修正指示に追われた」
フォトレタッチの外注において、このような経験はありませんか?
実はその問題、外注先の体制に原因があるのかもしれません。
東京レタッチを運営する株式会社bloomは、2014年の設立以来11年、エンタメ業界・大量案件専門という明確な方針を確立してきました。一見すると顧客を限定しているように見えるこの選択には、「得意分野で最高の品質を提供する」という、長年貫いてきた信念があります。
なぜこの道を選んだのか。その理由をお話しします。
東京レタッチは、芸能人・エンターテインメント業界に特化したプロ品質の画像修正サービスです。
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大量案件に必要な体制とは
月間数万枚を処理するための体制
私たちは現在、ベトナムのホーチミン市にメインオフィスを、ミトー市にサテライトオフィスを構え、約50名のレタッチャーが働いています。
「50名」と聞くと、少し大げさに感じる方もいるかもしれません。しかし、エンタメ業界の大量案件に安定して対応するには、この規模が必要なのです。
まず、レタッチに実際にかかる時間を見てみましょう。ブロマイドやグッズ用なら1枚15〜20分、写真集用なら1枚20〜30分、ポスターや大判印刷用なら1枚30〜60分かかります。これは単なる作業時間ではなく、お客様対応、レタッチャー同士の連携、品質チェック、軽微な修正も含めた実際の処理時間です。
では、10名の会社と50名の会社で、どれほどの違いがあるのでしょうか。
レタッチャーの実働時間は、基本8時間に残業を加えると10時間程度になります。私たちの会社では歩合給制度があり、レタッチャーたちは生産性を上げるために自ら進んで残業することも珍しくありません。ただし、お客様対応、チーム内の連携、修正対応、品質チェックなどを含めると、純粋なレタッチ作業に充てられる時間は1日約8時間程度が現実的です。
写真集用のレタッチ(1枚平均25分)で計算すると、10名の会社では1日192枚、月間で約3,840枚が限界です。しかもこれは大量案件を効率的にこなせた場合の理想値であり、少量案件も並行するなら、処理能力は大幅に低下してしまいます。
エンタメ業界の現実を見てみましょう。写真集1冊の制作には約200枚のレタッチが必要ですが、私たちは月間で何十冊もの写真集のレタッチを手がけています。タレントグッズの案件では、常に複数社からの依頼があり、月間5,000〜10,000枚が動きます。
そして、1日あたり数十件の案件が同時に進行しています。
一つの案件が終わってから次の案件に取り掛かるのでは、大量案件を複数のお客様から受注することはできません。つまり、レタッチャーが数人しかいない小規模な体制では、どんなに優秀な人材を揃えても、物理的に対応できないのです。
ここで、「24時間365日営業なら、少人数でも大量案件を処理できるのでは?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。結論から言えば、できません。
依頼が少ない深夜帯や祝日にまで常に人員を確保すれば、依頼が多い平日の昼間に処理能力が劇的に落ちてしまいます。深夜手当などの割増賃金が発生し、レタッチャーの人件費も余計にかかります。昼と夜の引き継ぎなどの工数も追加で発生します。
50名体制の弊社ですら、そのような不利益が多い24時間営業はしていません。少人数の会社ではなおさら難しいでしょう。
3交代制24時間営業が意味を持つのは、切り抜きjpさんのような300人規模の写真加工会社でしか不可能なのではないかと思います。300人いて3交代制なら、100人分のオフィス面積と100台のパソコンで運営でき、家賃や設備投資を抑えられます。しかし10名以下の会社では、デメリットの方が大きくなります。
品質を均一に保つ仕組み
大量案件で最も難しいのは、実は「量」ではなく「品質の均一性」です。
1枚目と1,000枚目で仕上がりが変わってしまっては、プロの仕事とは言えません。
アイドルグループの写真集で、ページごとに肌の質感が違っていたら、全体の統一感が損なわれてしまいます。数十人のメンバーがいるグループでは、メンバーごとにレタッチの加減が違って見えないよう、細心の注意を払う必要があります。
これを実現するために、私たちは明確な役割分担を設けています。作業を担当するレタッチャーたちと、品質チェックと進行管理を専門とするチームに分かれています。
具体的には、マネージャー1名とサブマネージャー4名が、約50名のレタッチャーを管理しています。このマネージャーとサブマネージャーが、複数の案件を俯瞰して仕事を采配し、リソースを最適に配分することで、大量の案件を効率よくこなし、納期を遵守しています。そして私(このコラムの筆者)が、この全体を統括し、最終的な品質とスケジュールの責任を持つ体制になっています。
さらに、レタッチガイドラインを統一し、厳密なチェック体制を敷いています。作業したレタッチャーとは別のマネージャーやサブマネージャーが確認する工程を経ることで、個人の解釈のブレを防いでいます。
このレタッチガイドラインは、ほとんどのお客様に共通して使えるよう、長年の実績から体系化したものです。エンタメ業界での豊富な経験があるため、様々なお客様の案件に応用が効きます。
そのため、初めてレタッチを外注する企業の担当者の方も、戸惑うことなくスムーズに依頼できる仕組みになっています。
日本人ディレクターがベトナムに常駐し、リアルタイムで対応できる体制も整えています。お客様対応は、私を含めた日本人3名と、日本語能力試験N1・N2レベルのベトナム人7名の計10名体制で行っています。
こうした仕組みは、一朝一夕に築けるものではありません。会社設立から11年という歳月をかけて、少しずつ確立してきました。
11年間の継続投資
ベトナムオフィスの開設には、相当な初期投資が必要でした。そして11年間、継続的に運営していくための投資も決して小さくありません。レタッチャーの育成も、継続的に行ってきました。
なぜここまで投資するのか。
それは、大量案件に安定して対応するためには、長期的な視点での体制構築が不可欠だからです。
目先の利益だけを追うなら、資本金は最小限にして設備投資も抑え、実際のオフィスは構えずバーチャルオフィスで済ませ、必要な時だけ外部のフリーランサーに発注するという方法もあったでしょう。
しかし、それでは品質の安定性も、情報管理の安全性も、継続的な改善も実現できません。
私たちは、お客様への長期的な価値提供を優先してきました。その選択の結果が、現在の体制です。
少量案件と大量案件は両立しづらい
ここで疑問に思う方もいるでしょう。「なぜ少量案件も受けないのか?柔軟に対応した方が、ビジネスチャンスが広がるのでは?」
実は、これが最も重要なポイントなのです。
少量案件と大量案件では、求められるオペレーションが根本的に異なります。
少量案件、例えば1枚から10枚程度の依頼であっても、個別の丁寧なヒアリングが大量案件と同じように必要です。お客様ごとに異なる要望に柔軟に対応し、きめ細かい修正に応えることが求められます。つまり少量案件でも大量案件でも、レタッチ作業以外の顧客対応にかかる時間はさほど変わりません。少量案件が増えすぎると、大量案件の方に割くべきリソースが削られてしまうのです。
こうした少量案件は、個人向けサービスやフリーランスが得意とする領域です。
一方、大量案件では標準化されたプロセスが必要です。チーム体制での効率的な処理、安定した品質管理、予測可能な納期対応が求められます。これは、組織的な対応が不可欠な領域であり、10名以下の規模の会社では実現できません。
この二つは、真逆のアプローチなのです。
価格設定を見ても、矛盾が生じます。前述の通り、少量案件でも大量案件でも顧客対応にかかるコストはさほど変わりません。しかし少量案件では、そのコストを少ない枚数で割るため、1枚3,000〜5,000円という単価になります。一方、大量案件では同じ対応コストを多い枚数で割ることができるため、それよりかなり安価な適正価格を実現しています。大量案件の法人向けサービスより、少量案件の個人向けサービスの方が単価が高いのもこれが理由です。
弊社の場合、ご依頼の規模が大きくなればなるほど単価は下がりますので、お問い合わせの内容に応じて個別にお見積もりしています。
もし両方に対応しようとしたら、どうなるでしょうか。少量案件は手間を考えると赤字になり、大量案件は価格競争力を失います。結局、どちらの顧客にとっても良い結果にはなりません。
リソースの配分という点でも、問題が生じます。私たちが50名の体制を維持しているのは、大量案件の安定供給、繁忙期への対応、複数案件の同時進行、そして緊急対応の余力を確保するためです。もし少量案件も受けたら、大量案件の処理能力が下がり、対応が分散し、専門性が薄れてしまいます。
つまり、「何でもできます」という姿勢は、一見すると顧客思いに見えて、実は誰のためにもならないのです。
レタッチャーが10名以下の会社が、欲を出して大量案件を受注しようとすれば、既存のお客様は対応を後回しにされて不利益を被ります。もしあなたの会社が、数枚だけの依頼をしたいなら、「大量案件に対応できます」と謳っている会社は避けるべきです。逆に大量案件の場合は、少人数のレタッチ会社に依頼してしまうと、納期が守られない危険性や一定の品質を保てない可能性があります。
月間50社からの継続的な依頼
現在の技術責任者である私(玉上義彦)がbloomに入社したのは8年前ですが、大量案件専門という体制を確立するには、想像以上の時間と労力がかかりました。
この8年間で、多くのことを学びました。
私たちの顧客は、ファンクラブ運営会社、グッズ制作会社、アイドルゲーム制作会社、出版社など、エンタメ業界の様々な企業です。毎月50社前後から継続してご依頼をいただいています。この他にも模型やフィギュアの商品レタッチ、アパレル商品の切り抜きなど多くの画像加工を行なっています。
これらを実現できたのは、50名の大規模体制、標準化されたプロセス、そして8年の経験とノウハウがあったからです。そして何より、エンタメ業界の深い理解があったからです。
芸能事務所のチェック基準、業界特有の納期感覚。こうした業界の実態は、実際に長年携わらなければ理解できません。
得意分野を明確にするビジネス戦略
弊社が大量案件に特化しているのは、決して少量案件を軽視しているわけではありません。
スケジュールに余裕がある場合など、少量案件をお受けすることもあります。ただし、前述の通り少量案件では顧客対応コストを少ない枚数で割るため、大量案件に比べて割高になることをご了承ください。
むしろ、少量案件には少量案件に適したサービスがあり、そちらの方がお客様にとって良い結果になるケースが多いと考えています。個人向けサービスやフリーランスの方が、よりきめ細かい対応ができ、かつ適正な価格でサービスを提供できるでしょう。
「何でもできます」と言った方が、ビジネスチャンスは広がるかもしれません。
しかし、得意分野を明確にし、できることに集中することで、お客様の期待以上の結果を提供できるよう努めています。
弊社がエンタメ業界で信頼を積み重ねてこられたのは、得意分野に特化してきたからだと考えています。
案件規模で選ぶべき会社は変わる
では、お客様の立場から、どのようにレタッチ会社を選べば良いのでしょうか。
まず、ご自身の案件規模を把握することです。数枚から10枚程度の少量案件なら、個人向けサービスやフリーランス、「1枚から歓迎」を明言している会社が適しています。丁寧なコミュニケーション、柔軟な対応、個別のニーズへの対応力を重視しましょう。
なお、少人数のレタッチ会社が法人向けのサービスに適していないわけではありません。例えば、大企業の広告などに使われる写真のハイエンドレタッチなどは、少数精鋭の広告専門レタッチ会社が向いており、私たちが勝てない領域でもあります。重要なのは、会社の得意分野と自社のニーズが合致しているかです。
100枚以上の大量案件なら、法人専門で大規模体制を持ち、大量案件の実績が豊富な会社を選ぶべきです。レタッチャーの人数、月間処理能力、同規模案件の実績、品質管理体制を確認しましょう。
もし会社が「1枚からでも、大量でも対応」と両方を主張している場合は、注意が必要です。実際にはどちらの案件が多いのか、過去1年の案件内訳、月間の平均処理能力、スタッフの体制規模を確認してください。
なぜなら、少量と大量では必要な体制が全く異なるからです。実際にはどちらかに偏っているはずです。両方対応と言いながら、少量案件ばかりなら大量案件の実績が薄い可能性があります。大量案件の経験がほとんどないのに対応できるといったり、実績豊富と謳っているなら、依頼するのはリスクが高いでしょう。
見極めるポイントは、得意分野を明確に説明できるか、過去の実績を具体的に示せるか、月間処理能力を数字で説明できるか、そしてできないことも正直に伝えるかです。
逆に注意すべきなのは、「何でもできます」だけで具体性がない、実績が曖昧、処理能力の説明がない、主要顧客が不明確な会社です。そのような会社に間違って依頼してしまい、「納期に間に合わなかった」、「雑に作業され品質が低かった」という経験をされたお客様が外注先を弊社に変更したという事例もあります。
個人向け、あるいは少量案件を依頼したい方はこちらのコラムもお読みください。
https://retouch.tokyo/column/how-to-choose-retouching-service/
最後に
東京レタッチが大量案件に特化した理由は、エンタメ業界のニーズに真摯に向き合った結果です。
写真集やグッズなど、大量処理が必要な案件に対して、厳しい納期に対応し、事務所チェックに耐える品質を提供する。そのためには、50名の専門チーム、標準化されたプロセス、継続的な品質管理が不可欠でした。
そして、効率的なオペレーションとスケールメリットにより、適正価格を実現することができました。
この選択により、他社の数倍の処理能力、安定した品質、短納期対応、そして11年の継続実績を実現できました。
レタッチ会社を選ぶ際は、自社の案件規模と、会社の得意分野がマッチしているかを確認することが重要です。「何でもできます」ではなく、「これが得意です」と明言する会社を選ぶことが、期待通りの結果を得る近道だと、私たちは考えています。
- 写真のレタッチ依頼なら
東京レタッチ -

東京レタッチはエンタメ業界に特化した、法⼈向けレタッチサービスです。アイドル・芸能⼈などのポートレートレタッチに豊富な実績あり!
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この記事を書いた人
よくあるご質問
- 少量案件は一切受け付けていないのですか?
- スケジュールに余裕がある場合は対応させていただくこともあります。ただし、大量案件に比べて割高になることはご了承ください。まずはお問い合わせください。
- どのくらいの規模から「大量案件」になりますか?
- 100枚以上の案件が大量案件の目安ですが、実際には数十枚程度のご依頼が件数としては最も多く、こうした規模の案件にも対応しています。納期や作業内容によっても変わりますので、お見積もりの際に詳しくご相談ください。
- 納期はどのくらいですか?
- その時の混雑具合によって変動しますが、数百枚規模の案件でも1週間程度で対応可能なケースが多いです。お急ぎの場合は特急料金で納期を短縮することもできますので、ご相談ください。
- 営業時間を教えてください
- お問い合わせの受付時間は平日10:00〜18:00です。ただし、レタッチ作業自体は残業や土曜日も行っており、納期に合わせて柔軟に対応しています。事前にご相談いただければ、日曜日や祝日もレタッチャーを稼働させることが可能です。
- 価格はどのように決まりますか?
- 案件の規模、作業内容、納期などを総合的に判断してお見積もりします。規模が大きくなるほど、1枚あたりの単価は下がります。まずはお問い合わせください。





